「笹巻けぬきすし総本店」(千代田区神田小川町)は、300年以上前の元禄15年(1702年)創業という老舗中の老舗です。元禄15年というと江戸開府100年の前年であり、将軍は第5代徳川綱吉、赤穂浪士の討入りがあった年となります。鮨屋としては東京最古とも言われ、「笹巻けぬきすし」は寿司の原型とも言われています。
「笹巻けぬきすし総本店」は東京さんぽるぽ(なかだえり著 創美社)という本で紹介されていて、一度行ってみたかったお店です。以前、うかがった時にお店が閉まっていましたので、念願が叶いました。
初代は人形町に店を構え、深川、神田、青山などに広がったようですが、現存するのは今の店舗だけのようです。現在は13代目だそうです。
笹には殺菌作用があることが古くから知られており、戦国時代に笹で巻いたご飯を兵糧にしていたことをヒントに「笹巻」を始めたようです。
鯛の小骨だけは酢でしめても柔らかくならないことから、毛抜きで丁寧に抜いていたことが「けぬきすし」の名前の由来です。現在も変わらず、毛抜きで抜いているそうです。
"江戸のすしは長く保たせるため、かなり酸味のきついものだったといいます。すしダネは七種類(鯛、光もの、白身の魚は季節で変わる。ほかに海老、おぼろ、たまご、海苔巻)。魚類は塩漬けにした後、酸度の強い一番酢に漬けて一日しめる。その後、少し酸度の弱い二番酢に三、四日漬ける。従って普通のすしより酸味の効いた独特の風味が得られます。熊笹は裏がつるつるの種類だけ。一枚一枚水で洗うのが大変な仕事です。 "
神田法人会HPの内容から、毛抜きで鯛の小骨を抜いたり、数日かけて酸度の違う酢に漬けたり、熊笹を1枚1枚洗ったりと、かなり手間の掛かる作業だということがわかります。
これだけの老舗ですので、前置きが長くなってしまいました。本題です。
地下鉄小川町駅から本郷通りを聖橋(御茶ノ水駅)方面には向うと、すぐ左手に近代的なビルに囲まれた「笹巻けぬきすし総本店」があります。
老舗なので緊張して中に入りました。ご家族で経営されているようで、店内はアットホームな雰囲気でホッとしました。中に入るまでは持ち帰りだけだと思っていましたが、食事用に椅子とテーブルがあります。作り立てよりも数時間経ったあとの方が美味しいとの評判も聞きましたが、店内で食べることにしました。
笹巻けぬきすし7つ(1620円)を注文しました。ネタは「白身(鯛かな?)」、「光り物(サバかな?)」、「海老」、「おぼろ」、「たまご」、そしてかんぴょうの「海苔巻」が2つでした。ワサビや醤油はなしで、そのまま食べます。
昔に比べると酸味をかなり押さえているようですが、かなり酢の効いたお寿司です。笹の香りが寿司に残り、ネタと酢にマッチしていました。「何が出てくるのだろう」と、笹をむく楽しみもあります。
潮汁が付きます。鯛の頭、オクラが入っていて出汁の効いた美味しい潮汁です。鯛の頭も身の部分を全て食べました。
何より嬉しい誤算がありました。お店の方が「お好きでしたら」と、サービスでカンパチの頭の味噌煮を出して頂きました。寿司ねたの残った部分で作っているのだと思いますが、かなり美味しいです。上品な食べ方ではないのですが、身を箸でほじくり、手も使いながら、骨にしゃぶり付いてしまいました。プルプルのコラーゲンを含んだ身もたっぷりです。
お店の前のディスプレイにあった「江戸名物 笹巻毛抜鮨由来記」です。江戸名物だったことが分ります。
江戸時代の人が食べる光景を思い浮かべながら歴史を味わうことが出来ました。これから先も末長く、江戸の味を伝えて欲しいと思いました。
Comments [2]
No.1よしかわさん
いつの間に・・・
こんなうまいモン喰ってたなんて・・・(爆
次回は必ず、「同行」します。(w
No.2 muragonさん
ヨッシーさんのウナギも美味しそうでしたねー!