大崎八幡宮 拝殿権現造りの現存最古の建造物である大崎八幡宮は、桃山様式を代表する貴重な存在として昭和27年に御社殿全体が国宝に指定されています。仙台市青葉区に鎮座して、藩政時代から現在まで篤い信仰を集めてきました。


大崎八幡宮 御由緒

"國寶 大崎八幡宮 御由緒

 平安の昔、東夷征伐に際して坂上田村麻呂は、武運長久を祈念すべく守護神である宇佐八幡宮を現在の岩手県奥州市(水沢)に勧請、鎮守府八幡宮を創祀しました。
 その後室町時代に奥州探題大崎氏はこれを自領、現大崎市田尻に遷祀し守護神として篤く崇敬した為、世に大崎八幡宮と呼ばれました。
 大崎氏の後は、仙台藩祖伊達政宗公が居城の玉造郡岩出山城内の小祠に御神体を遷し、仙台開府後仙台城の乾(北西)の方向にあたる現在の地を神域と定め、政宗公の命により慶長9年(1604年)工事が始められ、三年後の慶長12年(1607年)に遷座祭が行われ、仙台藩総鎮守として鎮座されました。
 この際、旧領の羽前国米沢にて代々尊崇しておりました成島八幡宮と共に祀られました。
 御社殿造営にあたっては、当時豊臣家に仕えていた当代一流の工匠が京、大坂、和歌山などから招聘され、その手に成った御社殿は豪壮にして華麗なる桃山建築の特色が遺憾なく発揮されたもので、藩政時代を通じ歴代藩主の篤い尊崇を受け、仙台六十二万石の総鎮守として伊達家の威風と桃山美術の絢爛たる息吹を今に伝えております。
 御社殿の内外にはふんだんに極彩色で彩られた彫刻が施され、随所にきらびやかな飾金具が取り付けられた黒漆塗りが絢爛豪華さの中に落ち着いた風格を現し、全体的に美しい調和をなし、また拝殿内部には、狩野派の絵師佐久間左京の筆に成る唐獅子の障壁画や大虹梁の青龍、石の間の格天井には数十種の草花が描かれ、豪奢な桃山時代の気風を感じることが出来ます。
 内部の彩色は創建当初の彩色がそのまま残され、また後の日光東照宮につながる形式(相の間造りまたは石の間造り)である権現造りの現存最古の建造物として、桃山様式を代表する大変貴重な存在であり、昭和27年に御社殿全体が国宝に指定されております。
 平成11年度から6ヶ年度をかけて国庫補助事業として、御創建以来初めてとなる大規模な御社殿の保存修理工事が行われ、創建時の美しさを現代に甦らせました。それに合わせ、御社殿周囲の環境整備事業を行い、祭儀棟、神輿殿、透塀、西廻廊などを建設し、平成18年には御鎮座400年奉祝記念大祭が盛大に斎行されました。
 毎年9月には、14、15日を中心に例大祭が行われ、藩政時代より続く流鏑馬神事や宮城県指定無形民族文化財の能神楽、八幡町ゆかりの雀踊り、そして総勢500名を越す神幸祭(神輿渡御)などが盛大に斎行されます。
 又、1月14日には正月送りの行事として全国的にも有名な、正月飾りを焼納する松焚祭(どんと祭)が行われ、2,000名を越す裸参りの参拝や、一晩で10万人の参拝者が訪れ終夜境内を賑わします。"

大崎八幡宮 境内図国道48号線に一之鳥居が面しており、二之鳥居をくぐって四谷用水を渡り、大階段を上ると三之鳥居があります。


大崎八幡宮 一之鳥居


大崎八幡宮 一之鳥居
国道48号線沿いにある一之鳥居です。御鎮座380年記念の銘鈑がありました。鳥居の篇額は4畳分もの大きさだそうです。鎌倉の鶴岡八幡宮と同じく、「八」の文字が鳩になっています。



大崎八幡宮 二之鳥居
宮城県指定有形文化財の二之鳥居です。四代藩主伊達綱村公が寄進し、1668年造の古いものです。鳥居の石材は現岩手県一関市から取り寄せた花崗岩だそうです。


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二之鳥居をくぐると橋があります。

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橋の下は暗渠になっています。この暗渠は、江戸時代に城下を潤した四谷用水です。


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水に恵まれなかった城下で、生活用水、防火用水、農業用水などに使われました。「土木学会選奨土木遺産」に認定されています。
詳しくは(「四ツ谷用水」と河岸段丘を巡る仙台地形散歩



大崎八幡宮 大石段


大崎八幡宮 大石段
大石段は、慶長12年(1607)の大崎八幡宮創建時からのものです。98段とも100段とも言われるのだとか...、踊り場を入れるかが入れないかの違いの様です。大石段は仙台市の登録文化財です。


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大石段の横にある月の灯篭です。

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大石段の両脇には江戸時代の灯篭が残っています。享和元年(1801)の文字が見えます。


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大石段のうえから見ると、なかなかの勾配です。



大崎八幡宮 狛犬
大石段を上り切ったところの狛犬。



大崎八幡宮 三之鳥居


大崎八幡宮 三之鳥居


大崎八幡宮 三之鳥居
当初は、享保3年(1718)に五代藩主伊達吉村公により寄贈された三之鳥居です。扁額の文字「八幡宮」は吉村和公自身によるものです。扁額の周囲には伊達家の家紋「日の丸」「竹に雀」「丸の内に三ツ引両」「九曜」「蟹牡丹」「竜胆車」の六紋で装飾されています。




大崎八幡宮 社務所


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三之鳥居をくぐり、少し高くなったところには砂地の広場があります。国の登録有形文化財である社務所が見えます。



大崎八幡宮 石絵馬


大崎八幡宮 石絵馬
参道に戻ると「石絵馬(いしえま)」というものがありました。当初は馬の銅像が乗っていましたが、太平洋戦争で金属供出により撤去されたそうです。「石絵馬」は昭和30年に建立され、現在の台座に移ったのは平成11年のことです。




大崎八幡宮 神馬舎


大崎八幡宮 神馬舎
昭和20年ごろまで御神馬がいたという「神馬舎(じんめいしゃ)」は大正期建造です。



大崎八幡宮 手水舎
手水舎。


大崎八幡宮 金比羅社
金毘羅社


大崎八幡宮 沼田豊前正藤原茂密石像
沼田豊前正藤原茂密石像(ぬまたぶぜんふじわらのしげみつせきぞう)



大崎八幡宮 長床
少し高くなったところに長床があり、その奥に国宝の御社殿があります。
左手には「諏訪社」「鹿島社」「北辰社」「龍神社」の末社が並んでいます。



大崎八幡宮 狛犬
長床前の狛犬。



大崎八幡宮 長床
長床という建物で、国の重要文化財に指定されています。古文書により、貞享3年(1686)に存在していたことが分かっていますが建築年は不詳です。宮城県内では最古のものだそうです。


大崎八幡宮 長床


大崎八幡宮 長床



大崎八幡宮 長床 絵馬


大崎八幡宮 長床 絵馬


大崎八幡宮 長床 絵馬


大崎八幡宮 長床 弓矢


大崎八幡宮 長床 絵馬
長床には古い大きな絵馬などがいつくか飾られていました。この絵馬も貴重なものだと思います。



大崎八幡宮 御社殿 拝殿 本殿
桃山建築の傑作とされる国宝の「御社殿」です。絢爛豪華な美しい建物です。手前は拝殿で、奥の本殿は正面からは確認できません。


大崎八幡宮 御社殿 拝殿 本殿
中も外も漆塗りの漆黒で、その上に極彩色の彫刻と飾り金具が目を引きます。





大崎八幡宮 神輿
最後に江戸中期に制作されたという神輿を見学しました。




大崎八幡宮 狛犬


大崎八幡宮 参道



大崎八幡宮 御朱印
大崎八幡宮の御朱印です。



大石段をはじめ、参道が美しく、3つの鳥居を進むごとに空気が変わるよう感覚がありました。
伊達政宗公から始まった大崎八幡宮の歴史は、今でも着実に引き継がれています。