『遠野物語』第2話には遠野三山が登場します。女神が3人の娘に遠野三山と呼ばれる「早池峰山」、「六角牛山」、「石上(石神)山」を与える話です。遠野三山にゆかりのある神社(早池峰神社、六神石神社、石上神社、伊豆神社)を巡ってきました。
早池峯神社



伊豆神社(伊豆権現)
「遠野物語」第2話の舞台となるのが伊豆神社(伊豆権現)です。

案内板には「伊豆神社は大同年間(806~810)に早池峰山を開いた始閣藤蔵が厚く信仰した神社で、明治維新前は伊豆権現といい、早池峰権現の親神と呼ばれていました」とあります。
伊豆神社(伊豆権現)

『遠野物語』第2話の舞台になったことも記されています。
「・・・大昔に女神あり、三人の娘を伴ひてこの高原に来り、今の来内村の伊豆権現の社あるところに宿りし夜、今夜よき夢を見たらん娘によき山を与うべしと母の神の語りて寝たりしに、夜深く天より霊華降りて姉の姫の胸の上に止りしを、末の姫眼覚めて窃に之を取り、わが胸の上に載せたりしかば、ついに最も美しき早地峯の山を得、姉たちは六角牛と石神とを得たり。・・・」
遠野の女たちは3人の女神の妬みを恐れて近づかないと結んでいます。

女神が3人の娘に遠野3山を与えたのが伊豆神社(伊豆権現)となります。

早池峰山の開祖で伊豆権現を厚く信仰した始閣藤蔵碑の碑がありました。
始閣藤蔵碑

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石段を上ると途中からは山道のような参道になります。
伊豆神社(伊豆権現)

急斜面の参道です。
伊豆神社(伊豆権現)

小さく愛嬌のある狛犬が並んでいます。
狛犬

狛犬

こちらが拝殿です。
伊豆神社(伊豆権現)

変わった形の松ぼっくり?が落ちていました。12cm位の長さでした。
松ぼっくり




六神石神社
姉に与えたとされる六角牛山の麓にある六神石神社です。途中、本当に神社があるのかなと不安になりながら車を進めると、急に開けた場所に六神石神社が現れます。
六神石神社

天狗でも出来そうな杉並木の参道を進んでいきます。静まりかえっていました。
六神石神社

六神石神社 

境内です。神聖な雰囲気でありながら、圧倒されるような感じを受けます。
六神石神社

狛犬

狛犬

こちらが拝殿です。
六神石神社

六神石神社

神社から下り、六角牛山方面を撮影してみました。
六角牛山


石上神社
石上山の石上神社です。他の2つの神社と比べ、比較的訪れやすい場所にあります。
石上神社

石上神社

こちらには神楽殿がありました。
神楽殿

狛犬

石上神社の拝殿です。
石上神社

境内から石上山方面を撮影してみました。
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早池峰神社
早池峰山は末の妹が与えられた最も美しき山と表現されています。早池峯神社は遠野市内からかなり奥深い場所にあります。
早池峯神社
由来には「前身は早池峰山妙泉寺である。明治維新の廃仏毀釈政策によって神仏混淆の真言宗妙泉寺は廃され、早池峰神社となった」とあります。


早池峯神社
遠野三山の山霊を祀る神社です。
大同元年(806)、猟師だった始閣藤蔵が早池峰山山頂に宮を建立したのが始まりで、嘉祥年間、慈覚大師がこの地に至って宮寺として妙泉寺を創建したのが由来の様です。

早池峰神社


神門です。立派な茅葺屋根で右大臣と左大臣が収められています。
神門

左大臣

元々は仁王尊像が収められていましたが、明治の神仏分離令で妙泉寺が廃された際に常堅寺に移されます。

常堅寺に移された仁王尊像 
常堅寺の仁王尊像


きれいな案内板がありました。山岳信仰の聖地だったとあります。おそらく太古より信仰を集めた山だったのだと思います。
早池峰神社

参道を通り抜けると拝殿があります。
参道

こちらが拝殿です。正面左三間と右二間との間が本殿への通路となる割拝殿形式だそうです。祭礼の際には通路に床を渡して神楽を奉納するため、神楽殿とも呼ばれています。
拝殿

拝殿の奥には荘厳なつくりの本殿が見えます。
本殿

早池峰山方面を撮影してみました。
早池峰



遠野三山と神社の地図です。伊豆神社を起点として遠野三山に直線を引くと、線上に各神社があるのが分かります。逆に言うと、三山から線を引いて各神社上を通ると伊豆神社の場所になります。三山の信仰から場所が選ばれたのが伊豆神社と言えるかもしれません。

より大きな地図で 遠野三山の神社を訪ねる。 を表示



いつか巡ってみたいと思っていた遠野三山の神社でしたが、遠野の奥深さを感じることが出来ました。遠野三山は太古より信仰を集めた山だったのだと思います。そして山岳信仰や神仏習合へとつながって行きます。

三姉妹の父親は坂上田村麻呂だという説もあるようですが、遠野物語には何か秘密が隠されているのかなと思ってしまいます。

今度は三山にも登ってみたいものです。