時期外れですが、昨年の11月中旬に「盛岡市中央公民館」の紅葉を見てきましたので紹介します。
「盛岡市中央公民館」の庭園はとてもきれいな紅葉が楽しめます。当地は江戸時代から南部(盛岡)藩主の別邸として整備されてきたようです。
座視鑑賞を重視した廻遊式庭園だそうです。庭園の面積は約1万平方メートルです。池は5000平方メートルの広さがあります。
池の周囲をまわりながら、綺麗な紅葉を楽しむことができます。池には紅葉の赤と青い空と雲が映り込んで、それが素晴らしく綺麗でした。
庭園内にはアカマツ、ヤマモミジ、サクラ、ツツジ、カエデ、アジサイ、シラカバなどが植栽されています。
盛岡市中央公民館の歴史
第4代南部藩主の南部重信が寛文9年(1669)に薬草の栽培を始めたのが園の始まりです。
第6代藩主南部利幹が正徳5年(1715)頃に藩主の屋敷として整備されます。第8代藩主南部利雄の時に大規模な造園工事が行われました。この頃に御殿や茶室が設けられて藩主別邸地となったようです。その後、屋敷地の一部は藩校として使用されます。
明治維新の変革の中、屋敷は取り払われて敷地内は荒廃します。明治41年(1908)に東京に本邸があった南部家の別邸として再建されて,庭園も整備されます。
昭和28年(1953)には「岩手県産業文化館」となります。昭和30年(1955)には盛岡市へ移管され、昭和33年(1958)に盛岡市公民館と改称します。昭和55年(1980)に「中央公民館」として増改築されて、現在い至ります。
以下、2011年10月初旬の写真です。
紅葉ではない時期でも庭園はとてもきれいです。
白芳庵
第19代内閣総理大臣を務めた原敬の別邸内にあった茶室「田舎家」を移築した「白芳庵」です。
聖風閣
明治天皇が東北ご巡年の際に宿泊所として利用した「賜松園」を移設した「聖風閣」です。
愛宕亭
盛岡出身の俳人山口青邨が幼少期を過ごした旧居が「愛宕亭」として移設されています。
庭園に面した和室の縁側。
庭園内ではありませんが重要文化財の商家が公民館敷地内に移築されています。
旧中村家住宅(重要文化財)
中村家は、城下町盛岡でも大きな商家で、呉服や古着などを商っていました。その後、盛岡藩特産の紫根染を一手に商い繁盛します。
母屋は文久元年(1861)築造で、増改築の多い商家でありながら建築当初の形を残す建物は珍しいようです。
盛岡市が昭和46年(1971)に中村家から寄贈を受けて、同年12月に重要文化財に指定されます。昭和49年(1974)に移築されたようです。
素晴らしい庭園と貴重な建物などを見ることができる盛岡市中央公民館です。これだけの庭園を持っている公民館は全国でも珍しいのではないでしょうか。