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小山薫堂編著『社会を動かす企画術』を読みました。



放送作家や脚本家という枠だけでなく、あらゆる分野での企画やプロデュースを手掛ける小山薫堂さん。アカデミー賞の外国語映画賞を受賞した映画「おくりびと」は、小山さんの脚本です。

先日、テレビ番組の対談で、くまモンの仕掛け人として熊本県のPRキャンペーンについて語っていました。本書を読むきっかけが、この対談でした。もっと色々な話を聞いてみたいと思ったのです。

「地方活性化」をテーマにして、「自ら驚き、楽しむ」ということがキーワードになっていました。簡単に言うと、「熊本にある良いものをまずは県民が発見しよう」、「自分たちが楽しい面白いことをやって楽しもう」といった内容です。

くまモンは「熊本の魅力を見つけて、ビックリした熊」だったのです。最初は県

民に徹底的にアピールしたそうです。
観光のPRというと、「こんなにいいとこあるよ」と外への発信ばかり考えるものです。観光だけではなく、あらゆる広報に見られる傾向です。


本書では熊本での講演の話として以下のように語られていました。

" 日常の中に素敵なものを見つける、ということは、「見過ごしていたものに気づく」ということでもあります。
それが結果として、自分たちの暮らしを豊かにする。
存在そのものに大きな魅力があり、それに気づくことで、自然とみんなが集まってくる。"ー 77ページ

本書は首都高での交通安全キャンペーン「東京スマートドライバー」などの小山さんの経験や思考法に始まります。第2章ではラジオ番組「SHARE DRIVER」でのゲスト20人の言葉が綴られています。後半の章では「SHARE DRIVER」でナビゲーターを務めたKIKIさん、東京スマートドライバープロデューサーの山名清隆さんの寄稿が掲載されれいます。

山名清隆さんの寄稿では、公共事業を「人が響きあう交響事業」として表現していたことが面白かったです。


『社会を動かす企画術』という本書のタイトルだけで想像すると、企画のテクニック的な内容に思えるかもしれません。簡単に言えば、「日常の行動やコミュニケーションがどの様にして繋がって、結果的に社会を動かすのか」というヒントが書かれていると思います。

当事者が楽しむ(見つける)こと、他人を喜ばせいたいという気持ちや他人への優しさ、個々の行動力やコミュニケーション力によって動いて行くものは"本物"になるのだと気付かされました。