一関市山目の円満寺には、「来恩塚」が建立されています。戦時中に殺されたサーカスのライオンが祀られているのです。
「来恩塚」の由緒は、絵本「ライオンの涙」に描かれています。
一関市在住の齊藤三郎さんが2003年、悲劇を子供たちに伝えるために「ライオンの涙」という絵本を発行しました。
齊藤さんは、市内を中心に「ライオンの涙」の絵本を読み聞かせする活動を続けています。動物までも傷つけてしまう戦争について、多くの子供たちに知ってほしいという思いからです。
戦争の激化で、動物の殺処分が全国で行われました。
昭和19年(1944)、一関市内で興行をしていた「黒須曲馬団」にライオンの親子4頭がいました。
軍が警察を通じてライオンの射殺を命じました。「餌を食べさせるのは贅沢」、「空襲で檻から逃げたら危険」などの理由だったようです。
「市民の戦意高揚のため」として、公衆の前で射殺するよう軍が命じます。5月6日、多くの市民が見守る中、地元猟友会によって射殺されます。
その時、ライオンは涙を流したと言われています。
昭和52年(1977)5月6日、一関市猟友会によって「来恩塚」が建立されます。射殺されたライオンの骨が埋められているそうです。
ライオンの悲劇、翌年終戦間近8月10日の一関空襲について描かれています。
やなせたかしさんの絵本『やさしいライオン』を思い出してしまいました。(「やさしいライオン」(フレーベル館 やなせたかし著)は大人も泣ける絵本です。)
お盆中だったこともあってか、「来恩塚」には多くの花が供えられていました。 これからも、塚と絵本により、ライオンと戦争のことが語り継がれて行くのだと思います。