建長寺にある「雲龍図」は創建750年記念事業の一環で、法堂(はっとう)の天井に描かれたものです。平成12年(2000)の完成。
建長寺は見どころが多く、境内の写真とあわせて紹介します。御朱印は最後に紹介します。
建長寺は建長5年(1253)に落慶されました。
開基は鎌倉幕府第5代執権北条時頼、開山は南宋から招いた蘭渓道隆でです。日本で最初に禅寺と称した寺院で、臨済禅のみ修行する専門道場です。鎌倉五山の第一位に数えられる大きな寺院です。
たびたびの火災などで再建を繰り返してきました。
現在の総門は天明3年(1783年)に京都の般舟三昧院で建立されたもので、1940年に移築されました。扁額の「巨福山(こふくさん)」は「大きな福をもたらす寺」という意味です。建長寺第十世一山一寧禅師が書いたものだそうです。
国重要文化財の三門です。楼上には、釈迦如来・十六羅漢・五百羅漢が安置されています。1775年に再建されたものです。
国宝の梵鐘はです。建長7年(1255)、関東の鋳物師物部重光によって鋳造されたものです。鉄と物部のつながりを感じます。
建長寺を創建した北条時頼が大旦那となり、開山の蘭渓道隆が銘文を撰している。
銘文には
『建長七年卯乙二月二十一日 本寺大檀那相模守平朝臣時頼 謹勧千人同成大器 建長禅寺住持宋沙門道隆 謹題都勧進監寺僧琳長 大工大和権守物部重光』
と書かれています。
建長寺の本尊である地蔵菩薩を安置している仏殿です。現在の建物は創建4代目のものと伝えられています。増上寺(東京都港区芝)から、徳川二代将軍秀忠公夫人(お江の方)の霊屋を譲り受けたものだそうです。
『吾妻鏡』の記録からは、地蔵菩薩は室町期のものと考えれれています。高さ3.715mの仏像です。
蘭渓道隆が植えたと伝わる柏槇は、樹齢760年です。開山当時に植えられてことになります。
蘸碧(さんぺき)池という池がある庭園です。
建物は得月楼、平成15年(2003)の建長寺創建750年慶讃の際、約590年ぶりに再建されたそうです。
唐門です。桃山風向唐破風という建築様式で作られた漆塗りの門です。
こちらも増上寺の徳川二代将軍秀忠夫人(お江の方)の霊屋から移築されたものです。
「龍雲図」がある法堂(はっとう)です。
建長寺創建750年記念事業の一環として『雲龍図』は2000年の完成です。鎌倉出身の画家小泉淳作氏が構想から完成まで4年の歳月をかけて76歳で描き上げました。縦10m、横12mという大作です。同氏は2012年に亡くなっています。
禅寺では仏法護持の神将の一つである龍の絵が多いようです。法堂は仏に代わって仏教の教えを
説く場として七堂伽藍の中でも重要な建築物です。法堂を守護するために龍が描かれるようです。
龍が雷雲を呼び雨を降らせるという教えがあり、仏法の教えを雨のごとく降り注ぐという意味もあるようです。火災から守ってくれるという説もあるそうです。
日本では3本の爪の龍が多いようですが、建長寺は5本爪の龍が描かれています。5本爪の龍は中国の皇帝の象徴であり、4本爪のが朝鮮王朝で、3本爪が日本だそうです。
建長寺はその歴史だけでなく、多くの貴重な伽藍が残されています。修行の道場としての雰囲気も感じられました。龍雲図は2000年作と新しいものですが、歴史ある建長寺の中にあっても全く引け取らない凄みを感じる素晴らしいものでした。